3重構造の日本人―現代人の心をのぞけばルーツが見える



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ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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共通感覚から民族のルーツを見た!

 著者が採るのは、同じ民族はずっと長く「共通した感覚」を持ち続ける。だから人の持つ「共通感覚」を探ることは、いわば心の遺跡を訪ねることになるというものである。
 そこで著者は、五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)に気分という項目を設けて、世界中の人たちの共通感覚をアンケート調査する。調査項目は、明るい・暖かい・美しい・うまい・悲しいなどなど、五感と気分に関するものである。例えばエレガントという項目だが、日本人は嗅覚にもエレガントを感じるのに、本家のイギリス人はゼロ反応という面白い結果もあって、いろんな民族によって共通した答えが導きだされるというだ。
 そうした調査の結果、日本人は3つの違った「共通感覚クラスター」に別れるのだが、そこから日本人と共通感覚をもつ民族として、氏は次の3つを挙げる。
1.タミル人というドラヴィダ族
2.ヨーロッパ人の一部(バスク人・スエーデン人など)
3.シナ・朝鮮などアジア人
すなわち日本人は、この3つの種族の3重構造なのだという結論を導き出す。
 もっともこれだけではいささか説得性に欠けるのだが、氏が援用するのは、国立遺伝学研究所の宝来聡が行ったミトコンドリアDNAの調査による日本人の分析結果である。このDNAの調査においても日本人は3つのクラスターに別れ、氏の説とみごとに重なり合うのだという。
 タミル語との関連性については言語学者大野晋が取り上げているが、タミル系の人が日本にやってこられた可能性を云々する否定論が多いのだが、そうした可能性で言語学的に否定さするのは学術上許されないとして、まず日本の一つの基底的渡来人としてタミル系民族を挙げる。
 次いで二つ目を、(日本人のDNAがもっとも古い形態を示していることから)アフリカから出てレヴァント地方(シナイ半島から地中海に面した中東)にしばらく留まって上で、東に進んだ民が日本にやってきたのだという壮大な仮説を提示する。そこから一部は西北上していったのがクロマニオン人になったという仮説である。
 そして最後に、弥生時代にチャイナあるいはコリアからきたもう一つのクラスターによって日本人の3重構造が完成したことになるのだという 。
 さて、トンデモ説と一笑に付せない説得力をもった一冊だといえるだろう。今後の研究に待ちたい。



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